IP同士の共創(コラボレーション)による価値創造戦略
サンリオ入社までのキャリアを教えてください。
新卒でベビー用品メーカーに入社し8年間、営業として大手小売チェーンを担当してきました。単なる商品の販売にとどまらず、売場の棚割りから販売計画、販促施策までクライアントの課題解決に深く踏み込んで営業していました。何がボトルネックになっていて 、決裁条件はどこにあるのかを紐解き、解決策となる商品や施策を提案する。この型は今の仕事のベースになっています。
また、私の原体験となっているのが、大学時代に都内のバラエティショップで行っていたアルバイトです。私はサンリオコーナーの担当だったのですが、商品の段ボールが届くたびに、企業理念である「みんななかよく」という言葉が目に飛び込んできました。売場のスタッフ目線でも、“喜びを届ける”想いが詰まっている会社であることを、当時から強く感じていました。
サンリオ応募のきっかけや入社までの経緯を教えてください。
サンリオの採用サイトで偶然求人を見つけた瞬間に「この機会を逃したら次はいつ募集があるかわからない」と思い、すぐに応募しました。
入社の決め手は、キャラクターを通じて伝わる企業姿勢でした。企業理念が単なるスローガンではなく、“振る舞い”として体現されている点に惹かれ、価値観が合うこの会社で働きたいと思いました。
入社前は「サンリオはキャラクターグッズをファンに届ける会社」という印象でしたが、実際に入社してみると、デジタルやゲームなど、事業の広がりが非常に大きいことに驚きました。変化のスピードも速く、キャラクターの価値を守りながら、常に新しい届け方を模索できる場所だと実感しています。
現在の仕事内容と担当領域を教えてください。
私の担当は、他社キャラクターやイラストレーター、アーティストなどとのコラボレーションを企画し、実現に向けて推進することです。先方からご相談をいただくこともあれば、SNSでファンの熱量の兆しを見つけて、自ら提案することもあります。
企画が固まったら、コラボレーション先との合意形成に加え、その商品化を担うライセンシーへの営業という「二段階」の業務が発生します。さらに、販路の確保やポップアップの調整まで担当範囲は多岐にわたります。
また、売上KPIも担うため、「面白い」だけでなく「いつ・どこで・どう売るか」を徹底的に考え実現に向けて動きます。関係者を束ねてプロジェクトを前に進めるプロジェクトマネージャーとしての側面も大きい仕事です。
コラボレーション企画を実現するうえで意識していること、大切なことは何ですか?
企画の魅力を語る前に、まず「成立条件」を揃えることを意識しています。ライセンシーが動ける仕様か、販路は確保できるか、イベント運営を回せるか…ゴールから逆算して、企画を実務に耐えうる実装可能な形に整えていきます。
同時に、役割分担も明確にします。「この判断は誰が決裁するのか」「情報はどのルートで回すのか」などです。ここが曖昧だとスピードも品質も落ち、クリエイティブに割く時間まで削られてしまうからです。
もう一つ、コラボレーションにおいてブランドガイドラインを遵守することはとても重要です。サンリオの基準を厳格に守るのはもちろん、コラボレーション相手側のブランドイメージを毀損していないかのチェックも必要になります。自由度が高い企画ほど、最後まで緊張感を切らさないことが大切です。この「攻めと守り」の両輪があってこそ、初めて新しい挑戦が成立します。
数字と現場感を組み合わせて魅力的な企画を創造する
前職の法人営業で培った強みは、どのように活かされていますか?
業界は違っても、「相手の課題を聞き、解決策として提案する」という本質は変わりません。ライセンシーには、認知を広げたい、ターゲット層を変えたい、海外へ進出したいなどさまざまな背景や目的があります。そのうえで、サンリオのIPという資産をどう組み合わせれば双方に価値が生まれるかを考えます。
もう一つは、熱意を説得力のある根拠に変換する習慣です。SNSでの流行を見つけた際には、「これが流行っています」という主観だけでは企画は立ち上がりません。なぜ支持されているのか、どの価格帯で成立させられるかを分析します。定量的な情報や具体的な販売計画を添えることで、提案の説得力を高めています。
以前、尖った世界観を持つ現代アーティストと組んだ企画では、販売場所をファンシーショップではなくカルチャー色の強いエリアへ寄せるなど、販売方法を工夫しました。結果としてこれまでサンリオに接点がなかった層にまでリーチすることができ、「新しいファン」を獲得するための確かな足掛かりをつくることができました。
社内外の関係者やファンと向き合う上で、大切にしていることは何ですか?
コラボレーションを「どちらかの都合」で終わらせないことです。例えばコラボレーション相手先がその客層を若年層に広げたいのであれば、若い層の支持が厚いサンリオのキャラクターを掛け合わせます。サンリオにとっても、これまで手の届かなかった層へリーチできる機会になるよう、狙いを言語化し、Win-Winになる形で設計しています。
短期で終わらせず、価値を積み上げるという視点も重要です。例えば、ある他社キャラクターとは半年に一度のペースで協業を継続しています。先方からも、購入層の若返りや認知の再拡大につながったという声をいただいています。一回のヒットで終わらせず、次の企画が新しいファンを連れてくる状態を作り続けたいと考えています。
また、ファンの反応はダイレクトなので、SNSだけでなく街や売り場にも直接足を運ぶようにしています。ポップアップ初日には店頭に行き、お客様が手に取る瞬間の表情を見ます。そうした実感こそが、次の企画の精度を高めます。数字と現場感の両方を持つことは、この仕事の最低条件だと考えています。
業態や国境を超えてIPの新しい見せ方への挑戦を
今後、この仕事で挑戦したいことは何ですか?
挑戦したいのは、サンリオと接点がなかった層との「出会い」をつくる企画です。既存ファンに喜んでいただきつつ、まだサンリオの魅力を認識していない人々への入口を作りたい。コラボレーションIP営業部だからこそ、驚きと発見をデザインできると感じています。
そのために、グッズ起点にとどまらず、アパレル、飲食、デジタルなど業態を超えた展開を強化したいです。特にデジタルは当社の専門部署との連携が鍵になります。「誰と組み、どんな体験にして、どこで熱量を生むか」をより立体的に設計していきます。
また、海外展開のニーズも加速しています。国内外での同時立ち上げは難度が高いですが、成功の再現性を高めることで、今後のスタンダードとなるようなロールモデルをつくっていきたいです。
サンリオに入社を希望する方たちに伝えたいことは何ですか?
サンリオは、良い意味で過去の成功体験に執着しない会社だと思います。既存の型にはまるよりも、変化を前提に自ら動いて道を切り開く場面が多いため、そこを楽しめる人ほど、力を発揮しやすい環境だと思います。
コラボレーションIP営業部では、トレンドを待つのではなく、自ら拾いに行く姿勢が欠かせません。SNSで流行の兆しを見つけ、街で空気を感じ、売り場で反応を確かめる。その積み重ねが企画の解像度を高めます。さらに、関係者が多い分、調整やリスク管理までやり切る推進力も必要です。
大変なこともありますが、発売後の声がすぐ返ってくるのがこの仕事の魅力です。自分が設計した企画で、お客様が驚き、喜び、商品を手に取ってくださいます。その瞬間の喜びがあるからこそ、また次の企画に挑戦したくなるのです。そんなやりがいを、ぜひ一緒に分かち合えたら嬉しいです。