Recruit役員インタビュー

山田 周平

株式会社サンリオ執行役員。
1999年にサンリオへ新卒入社。2022年よりグローバル・デジタルマーケティング本部担当執行役員。キャラクターの管理やレギュレーション策定など、クリエイション全般を担当。

山田 周平

キャラクターそのものよりも著作権ビジネスに興味があり、サンリオに入社

新卒でサンリオに入社されていますが、その経緯と今の仕事内容を教えてください。

私はもともとキャラクターを作りたいというよりは、版権物をライセンスアウトしていくというビジネスに非常に興味があり、サンリオに入社しました。

最初はセールスプロモーションの仕事をしていて、金融機関のノベルティや食玩と呼ばれるお菓子のおまけでつける玩具の企画デザインなどを担当していました。その後は、アパレルや雑貨・文具、玩具などの企業様へキャラクターを貸し出すライセンスビジネスにおいて、ライセンシー様向けのデザインを開発したり、ライセンス商品のデザイン監修をする仕事をしていました。

直近の3年間は、アニメやゲームIPとのコラボレーションや、他社キャラクターのデザインプロデュースなど、サンリオがキャラクターマーチャンダイジングを通じて培った「デザイン力」を活用したビジネス展開に携わってきました。その後、デザイン部門が統合され、2022年よりキャラクターやデザインレギュレーションの策定等のキャラクター管理や、サンリオキャラクター大賞等の総合的なイベント、海外で展開されるデザインの管理等、総合的なデザイン統括の業務を行っています。

サンリオのデザイン業務すべてを統括しているのですね。最も印象に残っている仕事は何ですか?

ずいぶん昔のことなのですが、ハローキティの幼稚園バスを作ったことです。単にバスをラッピングするだけではなく、外観の造作から椅子などの内装も特注で制作し、いわゆる改造車のようにバスを一から作るという仕事でした。それまでは手のひらサイズのグッズを取り扱っていたのでミリ単位の調整に慣れていたのですが、「バス」という大型サイズへのデザインは調整する単位も規格外で、新鮮な体験でした。

一台目が無事に幼稚園に納車されたときは、バスの前に園児が笑顔で並んだ写真をプレゼントしてもらい、笑顔を届けることができて非常にやりがいを感じました。幼稚園ごとに異なる要望に応えて細かくデザインチェンジをしていたので、一台ごとに個性があるバスをデザインできました。

デザイン業務を楽しんでいる様子がとても伝わります。2022年からは執行役員としてデザイン領域を一気通貫で担当されていますが、今後のデザイン組織への展望はありますか。

将来的には、デザインを研究するクリエイティブラボのような活動ができるような柔軟性のある組織にしていきたいと考えています。

弊社にはデザイナーが約100人在籍しているのですが、これまではサンリオショップで売られるサンリオオリジナル商品のデザイン担当や、ライセンス商品のデザイン担当、海外子会社のデザイン担当など役割によって部署が分かれていました。2022年にデザイン部門を統合したことで、デザイナー同士のナレッジ共有が進み、これまでになかった新たなクリエイティブが生まれることを期待しています。

また、これまでキャラクターのブランディングに関しては、マーケティング部が決めた方針に沿ってデザインを行っていました。これが組織再編後は、マーケティング部門とデザイン部門が一体となってキャラクターのブランディングを手掛ける体制になり、よりキャラクターの魅力を引き出せるようになりました。

リアルな「かわいい」を追究し続け、これからは「デジかわ」も究めていく

サンリオの、クリエイションにおける強みは何だと思いますか?

サンリオは商品の企画からデザイン、販売までをすべて自社で対応していて、さらにキャラクターを国内外にライセンスアウトしていくというビジネスをしています。この一連の流れをすべて自社のデザイナーが担当できることが強みだと思っています。

たとえば商品展開においては、オフセット印刷やシルク印刷などの印刷技術に始まり、刺繍やぬいぐるみのような立体物の再現技術などが必要とされますが、その知識もすべて自社に蓄積されています。サンリオのデザイナーは、「この生地を使うと、どう仕上がるか」や、「2Dのキャラクターをぬいぐるみにする時、どこを工夫すれば“かわいい”を作り出せるか」を把握しているんです。

他社のキャラクターであっても、サンリオを通すことでもっと“かわいく”できるノウハウがある。これがサンリオの強みだと思っています。

反対に、これから克服するべき課題や、ビジネス上の脅威はありますか?

今はメディアの多様化に伴い、キャラクターとの出会いの場が多様化しています。その中で、SNSやゲームのようなデジタルの領域にサンリオとしての成長余地があるではないかと考えています。そのためにも、「デジタル上でのかわいさ=デジかわ」を研究していきたいと思っています。

ぬいぐるみは瞬きしたり動いたりすることはありませんが、デジタル上ではなでると喜ぶなどのインタラクティブな感覚がありますよね。SANRIO Virtual Festivalなどメタバース上でもキャラクターを展開するケースが出てきているので、デジタル上でもかわいいと思ってもらうためにはどうデザインすれば良いか、これから追究していきたいです。

今後のサンリオキャラクターの成長戦略があれば、お聞きしたいです。

キャラクターの成長戦略として、打ち上げ花火のような一時的なインパクトをもたらしたいというよりは、顧客と長期的な関係性が築ける方が良いと思っています。昔からキャラクターを好きでいてくれる人が「何でそんなに古いキャラクターが好きなの?」と言われてしまう状態にはしたくないですね。

そのためにも、デザインの力がより必要であると考えています。たとえば、ハローキティは登場当初は子ども向けというイメージが強かったかもしれませんが、今ではシックな色合いのグッズも発売されていますし、化粧ポーチなど大人向け商品にもキティがデザインされているなど、大人が持っていても違和感がないと思います。

子ども時代にサンリオと初めて出会ったお客様が成長し、ライフスタイルや嗜好が変化することに伴って、商品デザインのバリエーションも増えて一緒に成長することで、末永く愛されるキャラクターを作り続けていきたいと考えています。お客様と一緒に成長できる、そんなデザイン力が必要です。

求めるのはクリエイター。何かに夢中になれる人が強い

これからのサンリオを担う若手に期待していることは何ですか?

サンリオを「キャラクターの会社」としてではなく、「グローバルエンターテイメント企業」という目線で見てほしいと思っています。今のサンリオキャラクターが好きな人はもちろん組織として必要ですが、これまでにないキャラクターの展開方法を考えられる人や、3D、またアニメーション動画などのクリエイティブ技術や知識を持っている人が集まる、多様性のある組織にしたいです。

将来のサンリオをけん引するクリエイターは、指示通りに仕事ができるだけでなく、デザインやクリエイティブに対する総合的なディレクションやプロデュースができるような人材であるべきだと思います。

プロデュース力のあるクリエイターになるためには、どのような思考や努力が必要でしょうか。

自分が興味を持って、深くダイブできるようなものがどれだけあるかが、とても大事な要素だと思います。

私自身、5年くらいのサイクルでものすごく何かにハマることが多いです。30代ではゲームにのめり込んで休みの日には1日20時間もプレイしていた時期がありましたし、最近では登山やキャンプにすごくはまっています。日本で標高の高い山TOP3を制覇したのですが、そのための装備や適切な歩き方まで、山登りに関する情報を隅々まで調べるなど熱量を注ぐ対象が常にあります。

サンリオで働くデザイナーを見ていても、活躍するデザイナーが必ずしもキャラクターを描くのが上手というわけではないです。音楽や漫画、ゲームなど、自身が携わっている仕事とは別の分野で専門家になれるほど何かにのめりこめる人たちが活躍することが多いと感じます。それは、その人たちが物を深く見る方法を誰よりも知っているからだと思います。