スポーツから広がる「サンリオ時間」
―スポーツ案件への取り組み―
執行役員
グローバル統括本部
グローバルパートナー開拓室
山本 太郎Taro Yamamoto
なぜ、今「スポーツ」なのか?
今、スポーツに取り組む理由は、「キャラクターやブランドの露出」を増やすためだけではありません。スポーツは、応援する、歓喜する、悔しがる、仲間と語り合う。そうした体験を生みます。昨今のエンターテイメントがオンライン中心になるなか、国籍・世代・性別・言語を超えて、人々の感情を同じ方向へ向かわせる瞬間を作るリアル体験の価値を高めるユニークなエンターテイメントです。
また、感情が大きく動く瞬間を創出し、「笑顔の総量」を拡張できる場で、私たちが「キャラクターに会いに行く理由」を増やし、ファンとのエンゲージメントを強められれば、物販だけでなく体験価値そのものがブランド資産になると考えています。
さらに、グローバルエンターテイメント企業を目指す意味でも、スポーツは極めて強力なグローバルの共通言語です。その場における「非日常の高揚感」と、当社の「かわいい」「やさしい」「親しみやすい」という価値を掛け合わせることで、従来のファン接点を超えた体験を生み出せるプラットフォームだと考えています。これまでキャラクターに関心が薄かった層でも、キャラクターを通じてチームへの愛着や競技への興味を深めて、自然にサンリオIPに触れる可能性があります。逆に既存ファンにとっては、“推しキャラ”と“推しチーム・選手”を同時に応援できる新しい楽しみ方が生まれることにもなり、スポーツファンとサンリオファンの相互送客を生み、異なるファンダムを横断的につなぐ取り組みにもなっています。
しかし、当社が目指すのは、競技の主役になることではありません。選手やチーム、地域、観客が生み出す熱量に寄り添い、その瞬間をより多くの人にとって心地よく、記憶に残るものへと変換する触媒になることだと考えています。スポーツへの取り組みは、単なる市場拡大ではなく、リアル体験の価値が再評価される時代に、「笑顔を生む場」を世界中に増やすための必然的なアプローチだと考えています。
データとIPで挑む、新しいビジネスモデル
スポーツ領域における当社の戦略は、単なるライセンス拡大ではなく、「IP×体験×データ」を循環させる新たな事業モデルの構築にあります。従来のIPビジネスが商品販売やライセンス収入を中心としていたのに対し、スポーツでは観戦者属性や来場頻度、購買行動、SNSの反応などのデータが継続的に蓄積されます。パートナー団体・チームと連携しながら、どの競技・地域・世代に共感が広がっているかを可視化し、次の施策につなげるPDCAを推進したいと考えています。
さらに、グッズ販売に加え、特別なコラボチケットや限定体験、デジタル施策などを通じて収益機会の多角化を図り、スポーツの競技数・試合数・大会サイクルなどを活用して長期的なエンゲージメントを創出してまいります。一方で、最も重要なのは、商業目的だけに偏らず、スポーツやキャラクターを純粋に愛するファンに寄り添い、本質的な価値を共創していく姿勢だと考えています。
世界とコミュニティを沸かせるコラボレーション
スポーツ領域における当社のアクションは、大きく「グローバル」と「コミュニティ」の二つの軸で展開しています。グローバルでは、米国女子ゴルフツアー(LPGA)とのパートナーシップや、ロサンゼルス・ドジャースをはじめとする米国のメジャースポーツチーム、F1アカデミーとのコラボレーションを通じて、世界中のスポーツファンが集まる舞台でサンリオIPとの新たな接点を創出しています。例えばドジャースとの取り組みでは、ハローキティをはじめとするキャラクターが球団や選手と融合し、会場演出、限定MD、飲食、デジタル施策などを通じて、野球ファンとサンリオファンが交わる特別な体験を提供しています。
またLPGAとのパートナーシップでは、ファミリー層や女性やキッズのファンとの新たな接点を広げることで、ゴルフをより身近に感じていただき、双方のファンにつなげています。一方で、地域コミュニティとの共創も重要なテーマです。Jリーグとのコラボレーションや各地域チームとのイベント展開を通じて、チーム、地域、ファンが一体となって楽しめる体験づくりやフェアプレイ啓発活動を推進してきました。
私たちは、キャラクターをスポーツの価値を広げる触媒として活用し、スポーツと地域社会の新たな接点づくりに取り組んできました。さらに、青少年向けの野球・ゴルフの普及活動(リアル・デジタル)や、将来を担う若手アスリートへの支援にも取り組んでいます。トップスポーツとの共創だけでなく、その裾野を広げる活動にも参画することで、スポーツを取り巻くエコシステム全体の発展に貢献していきたいと考えています。
笑顔の総量を増やし、未来の企業価値へ
スポーツへの取り組みは、短期的な売上やライセンス収入の拡大だけを目的としたものではありません。私たちが目指しているのは、スポーツを通じて生まれる感動や共感、人と人とのつながりを増やし、「サンリオ時間」を増やすことです。当社の強みは、世界中で親しまれる多様なIPを保有していることだけではありません。長年にわたり培ってきた「人々の感情に寄り添う力」や、「かわいい」を通じて文化や世代を超えて共感を生み出す力にあります。スポーツが持つ熱狂や挑戦、友情といった価値観と自然に融合できることは、当社ならではの競争優位性だと考えています。
また、スポーツとの共創によって得られる価値は、売上や来場者数だけでは測れません。ファンとの継続的な関係性、地域社会との信頼構築、次世代・新規顧客との接点、そして世界中のパートナーとのネットワークは、将来の成長を支える重要な無形資産になります。こうした非財務価値の蓄積こそが、持続的な企業価値向上の基盤になると考えています。私たちはこれからも、スポーツをはじめとするさまざまなエンターテイメントとの共創を通じて、「世界中で感情が動く瞬間」に寄り添い続けます。
そして、人々が笑顔でつながり、新たな体験を共有できる場を広げることで、「サンリオ時間」を世界中で増やし続けることが、私たちが目指すグローバルエンターテイメント企業の姿だと考えています。