トップメッセージ

トップメッセージ

サンリオ・マテリアリティの
達成指標を定めて
笑顔による社会課題解決を
実現してまいります

株式会社サンリオ
代表取締役社長

辻󠄀 朋邦

サンリオは1960年の創業以来、「みんななかよく」を企業理念として、世界中に笑顔をお届けしてきました。「なかよく」という思いは、国や時代を超えて求められる普遍的な価値です。私はそのような思いを大切に、時代の変化に対応しながらさまざまな事業に挑戦し、「みんなの笑顔」を広げてきたことがサンリオらしさだと考えています。

私は2021年に社長に就任後、一人ひとりの社員がサンリオらしさをより具体的に実践していけるように、ビジョン「One World, Connecting Smiles.」を掲げました。このビジョンは、「みんななかよく」の実現に向かって、笑顔で働く当社の従業員たちが、国境・言語・年齢・性別を超えてすべての人々の「多様な笑顔」を作り出し、幸せの輪を世界中に広げていくことを意味しています。

このビジョンを実現していくために、当社では「サンリオ時間」という指標を定めています。サンリオ時間には、キャラクターや商品、サービスがお客様の日常のさまざまなシーンでそばにある「寄り添い時間」と、キャラクター、商品、サービスをお客様に積極的に体験いただく「夢中時間」の二つから構成されています。これによりお客様に届けた笑顔の時間を測り、毎年増やし続けていこうというものです。

前中期経営計画では、10年間で累計3,000億時間の創出を目標に掲げましたが、おかげさまで2025年3月期は、2024年3月期比1.5倍となる1,140億時間を積み重ねることができました。目標より前倒しでサンリオ時間を創出することができたため、2026年3月期よりサンリオ時間は、年間3,000億時間創出へ目標を大幅に引き上げました。
お客様の生活に寄り添う商品やサービスを積極的にお届けしてきたことで、業績だけでなく、サンリオ時間もしっかりと増やすことができていることは、それだけ私たちのビジョンがお客様に響いていることの現れであり、非常に喜ばしいことだと考えています。

このサンリオ時間をさらに拡大し、持続的に成長していくために、当社は2025年5月に10年間の「長期ビジョン」を策定し、「グローバルIPプラットフォーマー」を目指すことを掲げました。ライセンス事業や物販事業に加えて、「映像」「ゲーム」「LBE」などに積極的に投資してIPの幅を広げ、これまでサンリオとの接点がなかった人も含めて“一人でも多くの人に対して笑顔を届ける”ことを追求していきます。

私たちが目指す「グローバルIPプラットフォーマー」は、事業活動とともに、人々や社会のサステナビリティへの貢献を強く意識しています。笑顔はストレスを軽減し、心の健康を保つ効果があり、Well-Beingの向上に貢献します。また、笑顔は人と人が信頼関係を築く基本となり、笑顔を通じた交流は人々に学びや共感をもたらし、コミュニティの活性化を促します。

ビジョンの達成に向けてはサステナビリティを意識した経営が必須になります。当社では、2025年3月期から今後10年かけてグローバルに取り組んでいく“笑顔による社会貢献”として、「サンリオ・マテリアリティ」をスタートさせています。サンリオ・マテリアリティは「創出価値」と「ESG」の2つの観点から取り組んでおり、創出価値の観点で取り組む社会課題に対しては、中長期目標となる10年KGI(2036年3月期)を策定しました。

10年KGIは、日本・米国・中国大陸でのグローバルな市場調査をもとに、マテリアリティごとに2035年にサンリオが目指す社会を定性的KGIとして示しています。めざす社会に向けてサンリオが起こす「社会の変化」と、具体的な「サンリオの貢献」の2つの観点で、定量的KGIを定めました。このように10年後の社会におけるサンリオの存在意義を言葉だけでなく、数値を含めて示したことは、サステナビリティ経営をさらに進化させていくという当社の決意を示すものです。またESGの観点で、環境・人権に配慮した事業活動にも努め、透明性のある企業運営を行っていきます。
「みんななかよく」という企業理念をもとに、時代の変化を捉えながらみんなの笑顔を広げてきたサンリオの挑戦はこれからも続きます。これからも私たちは、持続可能な人々の暮らしや地域社会、そして国際社会に寄与できるよう、サンリオ・マテリアリティを軸としたサステナビリティ経営を通じて世界中に笑顔をお届けしていきます。

※ LBE(Location Based Entertainment):体験の提供を中心としたリアル接点の場

2025年10月
株式会社サンリオ
代表取締役社長

辻󠄀 朋邦