Governance知的財産戦略

方針・基本的な考え方

キャラクタービジネスを展開する当社グループにとって、キャラクターや知的財産(IP)は、経営の根幹をなす大切な財産であり、事業における競争優位性の確保に不可欠な経営資源です。そのため、サンリオ本社およびグループ企業の役員・従業員すべてが遵守し、実践する普遍的な規範「サンリオ・コンプライアンス憲章」では、行動原則の1つ目に「事業の基盤となる会社資産(無形資産を含みます。)を適正に管理・保護します」と明記し、グループ全体で積極的に知的財産の保護に取り組んでいます。

体制・ガバナンス

当社の知的財産の権利面・法的側面における管理については主に法務部が担っています。
法務部は、経営および事業部門が業務において適切な意思決定ができるよう、法務面から環境・土台をつくること、また法務の観点から経営および事業部門を支援することをミッションとしています。国内外の契約書の審査・作成支援に加え、法的問題に関する相談、知的財産(IP)の権利化と管理、侵害対策にも対応しています。
商品やサービスの開発初期段階では、法務部がデザインに関する法的アドバイスなどを行い、知的財産権の侵害を予防するとともに、知的財産権の早期取得にもつなげています。

主な取り組み

知的財産(IP)の権利化とその管理

商標の登録申請・創作経緯の管理・著作権登録

キャラクターや知的財産(IP)の利活用・保護に必要な法的権利を確立するため、事業展開に即して商標権などの知的財産権を積極的に取得し、管理しています。現在、世界150以上の国・地域で20,000件以上の登録商標を保有しています(2025年9月時点)。

知的財産権侵害への対策

グローバル化やインターネットの発展により、私たちの生活はより豊かで便利になりました。その一方で、画像生成AIの普及などにより、知的財産権侵害のリスクは高まっています。
当社では、「ブランド価値を保護し、正規ビジネスを支援すること」「侵害品を排除し、消費者に安心・安全な本物の商品・サービスを提供すること」に重きを置き、海外子会社と連携しながら、知的財産権侵害への対策を講じています。

国内をはじめ、海外では中国などを中心に約60カ国を対象に、侵害業者に対する行政摘発・刑事摘発や民事訴訟、各国税関での水際取締り、オンライン上の侵害品・侵害情報のテイクダウンなどに取り組んでいます。

今後は、海外を中心に知的財産管理および侵害品対策の機能をさらに強化し、グローバルで盤石な知財管理体制の構築を目指しています。

侵害品対策の取り組み

取締機関との連携

当社は、各国・地域の取締機関と連携して、侵害業者の摘発・侵害品の押収等の対策を実施しています。

当社は2024年に、中国浙江省で侵害品製造業者に対する刑事摘発の申立てを行いました。当社の申立てを受けた公安当局により摘発が実施され、サンリオキャラクター関連の文房具セットなど、多数の侵害品が押収されました。

中国浙江省での刑事摘発により押収された侵害品

また2024年に、中国湖北省で侵害品製造業者に対する行政摘発の申し立てを行い、市場監督管理当局の摘発によって、サンリオキャラクター関連のマスク等、多数の侵害品が押収されました。

中国湖北省での行政摘発により押収された侵害品
社会へ向けたキャンペーンの実施

当社では、ブランド価値の棄損につながる侵害品の製造・流通を抑止し、消費者に正規品を選んでもらうため、各国で当社の知財保護の取り組みを広くPRするキャンペーンを実施しています。2024年度は、中国と東南アジア諸国において「サンリオは信頼を大切にしています」というキャッチコピーのもと、サンリオの知財保護の取り組みを紹介しました。特に東南アジア地域では、SNSやデジタル広告、テレビCM、新聞広告、看板などのオフライン広告など多様な媒体を活用し、広く社会に向けて発信しました。

多言語で展開される啓発ポスター​
英語
タイ語
インドネシア語