Recruit役員インタビュー

奥村 心雪

株式会社サンリオ執行役員。
女子美術大学短期大学部を卒業し、1999年にサンリオへ新卒入社。IP創造部を担当し、新規IPの創造と育成を手掛ける。シナモロール担当デザイナー。

奥村 心雪

幼いころから大好きなキャラクターと、自分の手がけたキャラクターが肩を並べた瞬間の喜び(個人の働くについての話)

新卒でサンリオに入社されて現在では執行役員になられています。入社の理由は何でしたか?

大学選びの際から、サンリオ一筋でした。世界中の人に愛されるキャラクターを開発したい、という思いが強かったです。幼いころからハローキティやマイメロディなどサンリオキャラクターが大好きで、女子美術大学に入ったのも、ハローキティの3代目デザイナーである山口裕子さんの出身大学だから、という理由でした。

念願のサンリオへ入社して働く中で、一番やりがいを感じた瞬間はいつですか?

入社3年目のときに、自分が作ったキャラクターのデビューが決まりました。デザインしたキャラクターが形を伴ったグッズとなり、店頭に商品が並んでお客様の手元に届くのを見届けた瞬間は本当に嬉しかったです。離れて暮らす家族や友達からも店頭でグッズを見たとの連絡がたくさん来た時に、この仕事のやりがいを感じました。

また、サンリオピューロランドで自分が手掛けたキャラクターがライブキャラクターとなって、子どものころから大好きなハローキティやマイメロディと並ぶ様子を見たときには感激しました。この喜びはデザイナー冥利に尽きると思います。一時的なもので終わることなく、自分の開発したキャラクターがこの先50年、100年と愛され続けるよう、確実なIP育成をしたいと思っています。

「かわいい」を突き詰めたサンリオ。「かわいい」の先も、開拓したい

サンリオが持っている強みは何だと思いますか?

世界に「KAWAII」という言葉を広める一助となるほど、「かわいい」を突き詰めた点です。世の中の人がキャラクターを見た時に、「サンリオっぽい」という共通感覚を持っている点もすごいと思います。

ただ、それは弱みと表裏一体にもなっていると思っています。「KAWAII」の枠組みから外れたことをしたり、これまでとは違うことをしたりすると「サンリオっぽくない」「サンリオでこんなことしていいの?」と言われてしまうこともあります。

サンリオっぽくないことができない、というデメリットもあるのですね。

ただ、期待や信頼を裏切らないことを意識しながらもできることを限定してしまわず、既存の枠を超えられるよう試行錯誤していきたいと思います。かわいいだけでない、新しい驚きのあるエンターテイメントを創出して、「サンリオってこういうこともやるんだ」、「面白いな」と思ってもらいたいです。

キャラクターのSNSで、現代人が携帯ばかり見ているなどの社会課題に切り込んでみる、といった小さなチャレンジをしています。「サンリオっぽくない」を怖がりすぎても何も変わらないので、「チャレンジするのって楽しいよね」という雰囲気を作りたいです。

また、JO1と一緒に開発したJOCHUMのような、新しいアプローチでのキャラクターの創造が今後増えていくといいなと思っています。

今後どのような形での新キャラクター開発が進んでいくのでしょうか?

新キャラクターの創出は、私が管掌するIP創造部が主に担当しています。

IP創造部は、0から1を生み出す部署です。デザイン部で経験を積んだデザイナーや営業、マーケティングを経験してきたプロデューサーで構成されています。自分たちで新規IPを開発・育成したり、社内コンペを企画したりしてIPクリエイションの機会を創出しています。

既存キャラクターの育成などはグローバル・デジタルマーケティング本部のデザイン部門が担っており、役割分担をしています。新規キャラクター、既存キャラクター問わず絵としてのかわいさだけが着目されるのではなく、バックボーンやキャラクターの性格、設定などを伝えてより多くの人に愛される存在とすべく、密に連携をしています。

サンリオに入ったからには、ぜひ新キャラクターを作ってほしいと思っています。IP創造部では現在、市場をとらえたりデータサイエンスを取り入れたりしたアプローチでの開発に取り組んでいて、既にさまざまな新規キャラクターが生まれています。営業や商品企画などと連携して、ライセンスビジネスに繋げられる大きなキャラクターを育てたいです。

創作のその後を支える、チームでの育成スキルがサンリオの強み

今のサンリオにとっての脅威は何ですか?

間違いなく、個人クリエイターです。最近SNS発のキャラクターが人気を博していますが、これまでグッズ販売を中心にビジネスを行ってきたサンリオにとっては脅威になっていると感じています。
ただ、サンリオはキャラクターを育てるプロの集団です。
人気が落ちてしまったキャラクターも、サンリオの強みであるチーム力を活かして社員みんなの力で復活させます。複数のデザイナーや商品開発の企画担当者、他社への営業担当など、社員総出でキャラクターを育成する。この体制で進んでいけば、今後もサンリオが負けることはないと信じています。

ひとつのキャラクターをみんなで育てているのですね。

全社で育てるというのはもちろんですが、最近ではデザイナーみんなで、というのも進んできています。
以前はキャラクターの担当デザイナーが多くのデザインを担当していたのですが、今はいろいろな人がひとつのキャラクターに関わることもあります。

既存キャラクターをリニューアルする機会が非常に多く、自分のアレンジを加えたデザインができます。
実際にLINEスタンプでは、食いしん坊なマイメロディというこれまでにないコンセプトで作った「ぽちゃっと動く!マイメロディ」や、「推しにときめく♪」シリーズなど、LINEスタンプを担当するデザイナーが自由にアレンジを加えたものもとても人気があります。

変化の途中にいるサンリオ。今後サンリオに来てほしい人材はどんな人ですか?

コミュニケーション能力が高く、市場へアンテナを常に張っていて柔軟性があるデザイナーと働きたいです。そのうえで、自分なりの世界観を持っていることももちろん重要な要素です。サンリオのデザイナーを目指す人には、世界中の人を笑顔にするような作品を、自分の強みを活かした表現で見せてほしいです。サンリオの企業理念である「みんななかよく」の思いを根底に、優しい世界を一緒に作っていきたいです。

また、思ったことをすぐ行動に移せることも大事です。グッズなど平面でのグラフィックデザインだけがサンリオのデザインだと思われがちですが、今後は平面だけでなく映像や3Dなど立体的なデザインがどんどん求められます。立体デザインのように、今までサンリオが得意ではなかった領域のデザインを得意とする人材も今後のサンリオに必要です。新しい分野への学びを止めない力が、今求められていると思います。